大判例

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東京高等裁判所 昭和59年(う)1335号 判決

被告人 大塚一朗こと大塚勘作

〔抄 録〕

論旨は、被告人は、医師であると詐称して病院に勤務し、誤診をすることなく、真面目に働いて、その報酬を受け取ったものであるに過ぎず、原判示給料等を詐取したわけではないから、医師法違反に問われるのは格別、詐欺罪は成立しない旨主張する。

しかしながら、原判決の挙示する関係証拠によれば、原判示第一ないし第三の各一に認定のとおり、被告人は、医師の資格を有しないにもかかわらず、原判示各病院の院長らに対して、偽造した大塚一朗名義の医師免許証の写を示すなどして、資格のある医師のように装い、同人らをして、その旨誤信させて、右各病院に雇われ、医師として給料等の支払いを受けたものであることが認められる。被告人に支払われた給料等は、被告人の提供した労務そのものに対する単なる対価ではなく、医師としての診療行為等に対する報酬として支払われたものであって、その資格といわば不可分一体的に結びついているものであり、各病院の院長らにおいては、被告人に医師の資格がないことを認識しておったならば、被告人を雇うことはもとより、医師としての給料等を支払うこともなかったことは明らかである。被告人は、捜査官に対する各供述調書において、この間の事情を承知しながら、本件各所為に及んだものであることを自認しており、これによれば、詐欺罪の犯意があったことも動かし難いところである。

(草場 半谷 龍岡)

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